包丁の研ぎ角で10円玉を使うと15度になる?
一般的に勧められている包丁の研ぎ角の「測り方」について、「10円玉3枚の厚さ」「10円玉2枚の厚さ」で15度になるという紹介をされていますが…
- 2枚なのか3枚なのか?も曖昧
- どの位置に10円玉を置くのか説明がないことが多い
- 10円玉を入れる場所や包丁の幅によっても角度が変わる
という理由で、曖昧なのでおすすめ出来ない!と思っていましたが、実際にどうなのか?を試してみました。
こちらは、このページの補足情報です。
→包丁の研ぎ方 初心者でも角度を固定して上手に研ぐ方法!
目玉クリップ、10円玉3枚、10円玉2枚の高さを比べました。
<10円玉の厚さは約1.5mm>
10円玉2枚の厚さは約3mm
10円玉3枚の厚さは約4.5mm
<日本硬貨のサイズ>
硬貨 | 直径 | 厚み |
---|---|---|
10円 | 23.5 mm | 1.5 mm |
50円 | 21.0mm | 1.7 mm |
100円 | 22.6mm | 1.7 mm |
500円 | 26.5 mm | 1.8 mm |
目玉クリップと同じ角度になる時の10円玉3枚の位置は?
角度固定ホルダーの代用品である目玉クリップと同様の角度(約10度~14度)になるには10円玉をどの位置に置いたらいいのか?を試してみます。
<注意事項>
押さえ方で10円玉がズレて誤差が出ますので、角度を確認するときは同じ感覚で押さえてください。)
テープで止めると誤差が出にくいです。
10円玉をテープで止めると誤差が出にくい!
目玉クリップを挿した状態で、10円玉3枚を重ねてみました。
10円玉3枚で目玉クリップと同じ角度になりました!
※身幅が4.5cmの菜切包丁の場合の一例です。包丁の身幅が違うと結果が変わる可能性があります。
包丁の背のラインにちょうど収まるように10円玉3枚を置くと、目玉クリップと同じく研ぎ角が約13度(※1)になるようです。(押さえ方でかなり誤差が出ます)
10円玉をきれいに重ねて並べても、上にのせた包丁の刃先を抑えて傾けると、一番上の10円玉がガチャリと起き上がるのは避けられないので気にしません、抑えて出来た角度が研ぎ角になります。(※押さえ方で誤差が出ます。テープで止めた方が誤差が出にくいです。)
(※1)研ぎ角の許容範囲内
10円玉3枚、10円玉2枚の置き方の正しい位置は?
身幅が4.6cmの菜切包丁で検証します。
左が目玉クリップ、真ん中が10円玉3枚、右が10円玉2枚です。
砥石の一番下の端に包丁の背のラインを合わせ置いた場合に、目玉クリップ(約13度)と釣り合う角度になるように10円玉を置きました。
目玉クリップは包丁に挟むとこの位置になります。
そのまま上に包丁を置いたらこんな感じの位置関係です。
<10円玉2枚を使う方法>
10円玉2枚を重ねて、包丁の身幅の真ん中あたりに置いて、刃先を抑えると目玉クリップと釣り合う角度になりました。
<10円玉3枚を使う方法>
10円玉3枚を重ねて、包丁の背のラインピッタリに10円玉3枚が収まるように置いて、刃先を押さえると目玉クリップと釣り合う角度になりました。
10円玉の枚数ごとの角度は?(身幅が4.6cmの包丁で計測)
全て包丁の背のラインピッタリに10円玉が収まるように置いて高さを計測しました。
10円玉の枚数 | 角度(°) | 身幅(ミリ) | 高さ(ミリ)※実測値 |
10円玉1枚 | 5.609 | 46 | 4.5 |
10円玉2枚 | 9.379 | 46 | 7.5 (~8誤差) |
10円玉3枚 | 13.18 | 46 | 10.5 (~11誤差) |
10円玉4枚 | 15.76 | 46 | 12.5 (~13誤差) |
<10円玉で測れる角度>
- 超浅めの研ぎ角(約5度)=10円玉1枚 ×浅すぎる
- 浅めの研ぎ角(約10度)=10円玉2枚 △浅いが許容範囲
- 通常の研ぎ角(約13度)=10円玉3枚 ○推奨角度
- 通常の研ぎ角(約16度)=10円玉4枚 ○ちょっと鈍角だけど許容範囲
※10円玉4枚はテープで止めないとズレて計測出来ないので、テープで止める前提で使用してください。
※包丁の身幅が変わると角度が変わります。
(身幅が短くなると鈍角になり、身幅が長くなると鋭角になります。)
※ちなみにこれは46㎜の身幅の包丁で計測した結果なので、10円玉の幅が23.5㎜すなわち、「46mm÷2=23mm」になるので、包丁の身幅が違っても、刃先から10円玉約1枚分の間隔をあけたところに10円玉を置いて計測すると、この結果と同じ角度になります。
10円玉は目玉クリップの大・中・小と似たような角度になりました!
目玉クリップは角度を固定して研げるのでおすすめします!
大きさを変えれば角度別に使い分けられます。
- 10円玉1枚:約5度
→目玉クリップ小(挟み口2cm):6~7度 - 10円玉2枚:約9度
→目玉クリップ中(挟み口4cm):9~10度 - 10円玉3枚:約13度
→目玉クリップ大(挟み口6.5cm):13~14度 (←推奨角度)
※身幅が4.6cmの包丁での計測例です。身幅が変わると角度も変わります。
※目玉クリップの種類によっての個体差あり
↓目玉クリップで包丁を研ぐ方法はこちら↓
目玉クリップのサイズ別の角度も紹介!研ぎ角を変えたい時に便利!
→目玉クリップで包丁を研ぐ方法とクリップのサイズ別の角度は?
10円玉は包丁の研ぎ角の目安として使える!
実際に10円玉で角度を測って見たところ、
- 10円玉3枚の研ぎ角の目安(約13度)は、包丁の背のラインに合わせて置くのが正確
(※身幅が違っても刃先から10円玉1枚分の間隔をあけて置くと同じ角度になります。) - 10円玉2枚の研ぎ角の目安(約13度)は、包丁の身幅の真ん中に置くのが正確
だと言うことが分かりました。
そして、
- 10円玉2枚~3枚
- 角度固定ホルダー
- 目玉クリップ大(挟み口6.5cm)
は、約10~13度でほぼ同じ角度だと言うことが分かりました。
10円玉2枚と10円玉3枚のどちらがお勧め?
10円玉の枚数が少ない方がブレが少なくなるので、10円玉2枚を真ん中に置くのがいいかな?とも思いますし、背のラインに合わせた方が比べやすいので10円玉3枚がいいかな?とも思います。結局はどちらでも良いという感じですね…😅
10円玉をテープで固定すればブレが少なくなるので、テープで止める事をお勧めします。
小さいナイフや刃先がすり減った包丁では角度が変わる
今回、基準にした身幅が4.6cmの包丁と身幅が違う包丁の場合は、10円玉を背のラインに合わせる方法だと角度が変わってしまいます。
包丁の身幅が広くなると角度が鋭角になり、身幅が狭くなると角度が鈍角になります。
包丁の背ではなく刃先から10円玉までの距離を基準にすると、誤差がなくなるので、
今回の結果に合わせるには、刃先から10円玉1枚分の間隔をあけて10円玉を置くと同じ角度になります。
あるいは、研ぎたい包丁の身幅を測って計算すれば希望の角度になる高さがわかります。
その高さになるように10円玉を挟み込むと、希望の角度の目安になります。
<角度(研ぎ角)の計算方法>
研ぎたい包丁の身幅を測り、下記のサイト(外部リンク)で計算してください。
→現場で使える三角形の図形が変わる計算機、角度や距離を出せます。
角度の計算方法はこちらで説明しています。
→包丁研ぎの角度固定ホルダーの角度は何度?/角度の計算方法
大事なのは角度を決めて同じ角度で研ぎ続けること!
10円玉を目安にした場合、置き方や包丁の身幅で角度が変わってしまう上に、押さえ方でも角度が変わってしまうので、角度が曖昧になってしまいがちなのですが、ここで大事なのは「正確に15度で研ぐ」ということではなく、「許容範囲内の角度で同じ角度を保って研ぐ」ということなのだと思います。
なので、「一定の角度で研ぐ為の目安にする」という意味で、10円玉を使う方法は有効だと思いました。
10円玉の位置は適当に置いても大抵は許容範囲に入るので、曖昧な説明でも大丈夫なのだろうと思いました。
10円玉をガイドにするときは、この角度と決めたら最後まで同じ角度で研いでいきましょう。
あとがき <10円玉2~3枚で15度にはならなかったが!>
10円玉は意外と的確な表現だった?!
様々なサイトで10円玉2枚~3枚で「15度」になると説明されていますが、曖昧な説明が多かったので、ハッキリと確認するために実測してみました。
結果は10円玉2~3枚で「15度」ではなく「13度」ぐらいになる(※身幅が4.6cmの菜切包丁を使った場合)ということが分かりました。
身幅がそれよりも狭い一般的な三徳包丁ならば、おそらく「15度」くらいになるのではないか?と思うので、「15度」というのは一般的な包丁を基準にした場合に的確な表現なのだと思いました。
曖昧な条件故に曖昧に説明せざるを得ないが…。
厄介なのは、「説明時に、この(※身幅が○○cmの菜切包丁を使った場合)という条件を指定せずに説明しなければいけない」ということです。
包丁の身幅の指定ができないという誤差が不可避な条件である故に、曖昧な表現にならざるを得ない状況において、「曖昧な中でも見事に的確な表現をしているのではないか?!」と逆に感心しました。
感心したポイントは、身幅によって角度は多少変わったとしても、誤差を含めて約10~15度ぐらい収まったというところなのです。
結局はどうやっても約10~15度になるという不思議!
↓標準的な家庭用の包丁ならばだいたいこうなる!↓
■10円玉2枚の場合
・真ん中に置いても、背のラインに合わせて置いても結局は約10~15度になる
細かすぎるので詳しく説明できないけど、10円玉を置きやすい位置を考えて導かれる結果と、包丁の身幅の誤差を含めて考えると約10~15度になることが想像できる。
■10円玉3枚の場合
・10円玉を真ん中に置いたら不自然で包丁を当てにくいので、おそらく背のラインよりに置く事になるので約10~15度になる
※もしも真ん中に置いたとしても、20度以内には入るので許容範囲ではある。
ということで、曖昧な説明でも約10~15度(あるいは10~20度内)になるのだろうな?ということが想像できました。
大事なのは「15度」に拘るのではなく、「研ぎ角が約10~15度の許容範囲内になる」ということなので、10円玉を使う方法は曖昧でありながらも見事に「許容範囲内」を言い得ていたことが分かりました。
包丁研ぎで大事なことは、「15度」という部分ではなく、許容範囲内(約10~15度)で同じ角度で研ぎ続けることです。
なので、正確に「15度」にならなかったとしてもこの説明で正確だったのだと思いました。
(説明している人々が、この理屈をここまで理解して言っていたのか?はわかりませんが…😅)
やっぱり説明が曖昧すぎるのでは?
ただ一つ納得出来ないと感じたのは、ほとんどの説明者が「10円玉を置く位置を指定していなかった事」です。
どのみち許容範囲に入るとしても目安は知りたいですよね…。
しかし、これは実際に計測して実感しましたが、条件を指定すると具体的で複雑な説明が必要になるのです。なので、説明を曖昧にしたい気持ちも分かります…。
しかも説明している人々は、おそらく「角度は目安程度でいい」という認識なので、「15度」にこだわっていないし、「15度」になる正しい置き方の説明の仕方がわからないので、細かい説明からは逃げているのだと思うのです。
せめて、「10円玉を置く位置を説明して欲しかった」とも思いましたが、説明がいかに難しいのかも今回調べてみて身に染みました。
ということで……、
適切な説明文をここで考えてみたいと思います。
どういう説明であれば適切なのか?
<注意すべきポイント>
- 包丁の身幅が変わると角度が変わる
- 10円玉の置く位置が変わると角度が変わる
<説明:パターン①>
10円玉2枚か3枚を適当に置いて目安にしてください。
どう置いても約10~15度の許容範囲内になるので大丈夫です!
<説明:パターン②>
10円玉2枚を身幅の真ん中に置いて目安にしてください。
身幅によって変わるので誤差は出ますが、どう置いても約10~15度の許容範囲内になるので大丈夫です!
<説明:パターン③>
10円玉3枚を包丁の背のラインに合わせて置いて目安にしてください。
身幅によって変わるので誤差は出ますが、どう置いても約10~15度の許容範囲内になるので大丈夫です!
<説明:パターン④>
普通の包丁ならば10円玉3枚を包丁の背のラインに合わせるとだいたい13~15度になります。
あるいは、刃先から10円玉一枚分を空けて10円玉3枚を置けば約13度になります。
15度にしたければ、10円玉3枚を少し(1~2mm)刃先に寄せれば15度になるかもしれません。
<説明:パターン⑤>
正確な15度を知りたいならば、ピタゴラスの定理(三平方の定理)で角度が計算出来るサイトで、自分の包丁の身幅を基に目当ての15度になる高さを計算して、その高さに合わせて10円玉を入れてみてください、そこが15度です!
という感じでしょうか……。
あまりすっきりしないですが、結局は自分で計算して高さを測るのが確実ですね。。
こちらは、このページの補足情報です。
→包丁の研ぎ方 初心者でも角度を固定して上手に研ぐ方法!
このページが皆さまのお役に立てたならば幸いです。
<包丁を上手く研ぐ方法>
初心者が知っておくといいこと!
→包丁の研ぎ方 初心者でも角度を固定して上手に研ぐ方法!
補助具それぞれの研ぎ角を比較!
→包丁研ぎの「角度固定ホルダー」「目玉クリップ」「ドアストッパー」「10円玉3枚」の角度は何度?
目玉クリップのサイズ別の角度も紹介!研ぎ角を変えたい時に便利!
→目玉クリップで包丁を研ぐ方法とクリップのサイズ別の角度は?
10円玉で包丁研ぎの角度を正しく測るには?
→<包丁研ぎ>10円玉を使うと何度になる?正しい測り方!
<包丁のメンテナンス>
砥石のカスに注意!
→包丁研ぎと砥石の面直しで【排水口(水道管)が詰まる】?!”砥どろ”に注意!
砥石の面直しを安く済ませる方法
→研石の面直しの代用品はある?レンガやコンクリートブロックは使える?
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→包丁の柄を自分で交換!穴が小さくて入らない時の方法も紹介します。
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